[特集]
 既設の医院に増築して内科を開院
 
〜隣接する眼科を開業しながらの制限のある設計・施工〜
診療科によって異なる設計の考え方〉
 富山県砺波市にある桐沢医院は、昭和30年代に婦人科を開業した、歴史のある医院である。平成2年に、同じ敷地内に眼科棟を建築し、その後、眼科の待合室や玄関の拡張などの増改築を行ったが、さらに内科を開設することになり、3回目の増築を行った。
 内科の増築場所は、眼科棟横の駐車場として使用していたスペース。細長く、限られた空間だった。その中で設計を検討し、玄関と待合室は広げて眼科と共有。玄関の位置も移動した。新設する内科の設計は、同じ医院でも、眼科とは考え方が多少異なる。
「内科は眼科より一人ひとりのプライバシーに触れることが多く、他の患者さんに診察内容が漏れ聞こえないように、より気を配る必要があります」と、眼科医の山下先生は言う。
 そこで、中待ちと診察室の間のドアを厚くし、中待ち側にBGMを流すシステムを導入し、診察中の会話が外に漏れないように工夫した。その反面、待合室での患者さんの都合・容態にスタッフがすぐ気づけるように受付はオープンカウンターにし、さらにサイドの壁側に窓を付け、目の届きやすい環境をつくった。
 玄関や待合室は、眼科の患者さんも利用するため明るさにもこだわり、開口部を大きく取り照明も多めに設定した。
〈眼科を開業しながらの制限の多い施工
 施工に関しては、開業中の眼科への影響を最小限にしなければならない。工事による休診日を極力抑えること、患者さんが出入りするため、安全性の確保。診療に迷惑をかけない騒音対策。そして、眼科は精密機器を使用するため、粉塵対策が要望された。
 そこで、眼科は現状のまま基礎工事にかかり、鉄骨を組み立て、最終工事の一歩手前まで仕上げておいて、1日休診日をとってもらうことにした。
「大きな音が出る工事は、木曜日の午後の休診や休日、祝日にすることにして、工程を組みました」と、担当者は言う。「その日に工事ができるように、前の工程を終わらせておきました」。
 音の出る工事を休診時にすることは、同時に患者さんへの安全性確保にもつながった。
 ある程度、増築部分ができあがると、既設との取り合い部分の工事にかからなければならない。気をつけるのは、埃などの粉塵対策である。既設部分の1メートル程内側に、軽量鉄骨で仮間仕切りを造った。
「ボードを張って、埃が入らないように目張りをして、仮のクロスも貼りました」と、担当者。
 その間に、取り合い部分の下地材などの工事を進めた。増築は既設の鉄骨をガスで切るため、火を使う。防火にも細心の注意を払った。
「仮間仕切りにはクロスも貼って、見た目の問題も気をつけていただきました。きれいで違和感がなくよかったですね」と、山下先生。
 玄関の位置も内科側に移動するため、古い玄関から新しい玄関へ、順に間仕切りと入り口を変えながら施工した。あとは、休診日に、間仕切りを取った部分の床や天井などの作業を、1日で仕上げまでやり遂げた。
〈機能的でやさしい医院がオープン
 眼科との違いのひとつに、内科の方が薬について管理が厳しいということがある。受付は、眼科と同じオープンカウンターにして話しやすいようにしたが、薬局があるため、受付を施錠できるようにする必要があった。そこで、シャッターを設置することにした。
「大きな梁の下に、天井裏で納めなければならないので、納まりや下地の問題など苦労しました」と担当者。
 また、正面入り口は、車椅子のまま入れるようにスロープを設置。ポーチから玄関、室内へは、段差のないバリアフリーとした。
「スロープは、非常に短いスペースで、ご迷惑をかけながら何とか造っていただきました」と、山下先生。
 また、外壁は石調の落ち着いたイメージを要望されたが、前の壁にタイルを付けると重量がかかりすぎる問題があった。軽いものは何かないかと探した結果、石調のシートを貼ることにした。優しく格調のある印象になっている。
 着工は7月。10月下旬の開業予定に遅れることなく完成。難しい要望もあったが、確実に工期を守った。
「患者さんに聞くと、どなたも『明るいね』と言われます。職員も、動きやすいと言っていますよ」と、山下先生。
 桐沢医院には、毎日多くの患者さんが来院し、明るく広い待合室で診察を待っている。設計と工期の工夫が、合理的でやさしい医療空間を造った。

明るく広い待合室。
 
処置室。
 
正面が内科受付。診察時間中はガラスなどのないオープンな対応ができる(中)。終了時にはシャッターを下ろして施錠する(下)。
 
バリアフリーを考えたゆったりとした正面玄関。
 
階段には、段が見えやすいように黄色のマーカーを付けた。
 
玄関に付けたスロープ。植栽のあるやさしいスペースになっている。
 
 
     
 
[今月のオーナー訪問]
 桐沢医院 眼科医師 山下 泉さん
〈厳しい条件で大変だったと思います
 クリニックというのは、一般の住宅と違って特殊ですから、前の2回の増築からお互いに勉強してやってきたというのはあります。鷹栖建工さんは、こちらのいろいろな要望をすっと聞いていただけるので、今回も依頼しました。「前はこうだったから、こうしようね」とか、お互いにわかっていたというのは大きいと思います。
 眼科を開業しながらの増築で、安全性と音、粉塵などに気を付けていただきました。そこが苦労
されたと思います。換気扇などにもしっかり目張りをしてもらいましたが、それでもどこかからか粉塵が入ります。そこまでやっていただいて、この程度で済んだという感じです。
 担当の人も夜遅くまで掃除されたり、真面目だなと思っていました。こちらは要望するだけなので、鷹栖建工さんは大変だったと思いますよ。
 医院の方は、明るく広くなりました。完成後も、患者さんの声を聞いて、手すりを付けるなどの改善もしています。(談)
     
 
[技のトピックス]
 長期にわたる美観維持と工事直後のホルムアルデヒド対策
 サンゲツ

 癒しを求める時代背景からでしょうか。最近は、ペットと暮らす方が多くなりました。また、家具の配置など部屋のレイアウトを頻繁に変える人も増えているそうです。こうした人たちに共通する悩みのひとつが、壁紙のキズ。ペットが引っ掻いたり、家具移動時にぶつけたりするためです。
 サンゲツは、「スーパー耐久性クロス」をおすすめします。引っ掻きキズに対して一般的なビニル壁紙に比べて約10倍の強度を持ち、汚れ防止・抗菌性といった機能もプラス。美観を長く維持するのに有効です。
 また、リフォーム工事では、入居したまま工事したり、工事完了後すぐに入居することが多いもの。様々な建材から放散されるホルムアルデヒド濃度が最も高い工事直後のシックハウス対策に有効な「ホルムアルデヒド消去壁紙」で、快適・安心ライフを支援します。

〈3つの特長 スーパー耐久性クロス 〉
1.引っ掻きキズに強い
 表面を強化しているので、引っ掻きキズに対して
  一般ビニル壁紙の約10倍の強さがあります。

2.衝撃に強い
 耐衝撃性に対して、一般ビニル壁紙の約3倍の
  強さがあります。

3.抗菌性・汚れ防止性に優れる
 表面のエバールフィルム加工で汚れが落ちやすく、
  いつも清潔な環境がキープできます。

 
ホルムアルデヒド消去壁紙
シックハウス対策に効果

  空気中のホルムアルデヒドを吸着し、無害な物質に分解しますので、健康で快適な住まいづくりに役立ちます。効果持続期間は使用環境によって異なりますが、およそ3〜6ヶ月程度を目安と考えてください。新築やリフォーム直後のホルムアルデヒド低減に有効です。また、タバコの煙に含まれるアセトアルデヒドの低減にも効果があります。
 室内空気汚染を防ぐためには、複合的な対策(換気・低ホルム品の使用など)を行うことが必要です。

 
 
[今月の特集は]
 鷹栖建工株式会社が行った医院の増築を紹介しました。眼科の建築から内科の増築まで、3回に渡り担当しています。
 厳しい条件をクリアするための工程の工夫と、それを守った現場の進行。また、仮間仕切りの設置と細心の注意を払った施工などで、眼科への迷惑を最小限にすることができました。
 診療機器や患者さんなど特殊な問題を、お互いに相談し解決しながらよりよい医療空間をつくっているケースです。
   
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Vol.04 [特集]増設して内科を開院  [TOPICS]ホルムアルデヒド対策 
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