[特集]
 印象を継承しながら、新しい工夫と配慮を
 
〜明るく、心配りのある医院で地域医療に貢献〜
〈前医院のイメージをベースに快適に
 高岡市大鋸屋町にある炭谷内科医院は、ここで長く開業していた医院が閉院したため、その建物を改修して平成16年11月に開業した。炭谷院長は、長年総合病院に勤務されたキャリアのある医師である。
「前の先生と直接つながりはありませんが、継承開業と考え、元の医院のイメージをある程度残しながら工夫したいと思いました」と、炭谷院長は語る。
 院長の要望に応え、患者さんが慣れ親しんだ待合室や受付などの配置は変えず、全体として明るく快適な空間にすることが求められた。ポイントは天井、壁、床の張り替え、入り口やトイレの改装などである。
 元の建物は昭和30年代に建てられたRC構造だが、床は木造だった。床面はレントゲンの機械の関係で下げることができない。そこで、支持脚を使った二重床システムを採用した。問題はレントゲンの荷重だった。
「メーカーに確認して計算してもらい、支持脚を規定の数以上に設置しました」と担当者。明るい木目のフローリングと扉、白いクロスの組み合わせを提案し、清潔感と温もりのある印象となった。
〈スムーズな診療と心配りを届かせる
 基本レイアウトは変えないといったものの、変えなければいけない箇所もあった。まず、レントゲン室の操作台だが、同じ部屋にあったのを外に出さなければならない。そこで、隣接する診察室に設置することにし、間の壁を開けて窓を付けることになった。
「RC構造の場合、レントゲン室の壁は15センチ以上となっています。ハツリが少し大変でしたね」と担当者。開口部には鉛の特殊ガラスをはめ込んだ。
 患者さんが来院し、診察や治療をスムーズに受けるために、改良すべき点もあった。まず玄関の段差。床面が高いため、車椅子が乗せづらい。
「床に切り込みを入れて、ツーステップにしたんですよ。距離がないので、スロープにすると下りが危険ですから」と院長。廊下もこれまでより広くした。その分受付が下がったが、受付の中にあった部屋をつなげてひとつにして空間を確保した。
 また、前は扉を開けると診察室で、その隣に処置室があった。これでは、玄関から診察室が見え、患者さんの動線も悪いため、診察室と処置室を逆にした。
「処置室が廊下側にあると、看護師が受付や待合室の状況を把握しやすいんですよ。それと、患者さんの声が漏れないので、プライバシーも守れます」と院長は言う。もちろん、必要な箇所には手すりを設置。トイレも新しく機能的な空間とした。
〈現場での要望にも柔軟に対応
 炭谷院長は、現場を訪れては実際の診療を想定して細部まで工夫を考えていた。
「図面だけでなく、実際に自分で歩いてみないと、どこにどんな問題があるのかわからないですから」
 人がどう歩くか、車椅子がどう動くかをチェックする。そこで、ここに手すりを付けてほしいとか、検尿のコップの窓をここにしてほしいなどの要望が出る。
「改装工事は、現場での対応がポイントです。やってみて初めてわかることもありますから」と、担当者は言う。受付のカウンターの高さも院長と相談して、図面よりも少し高く設定した。
 古い建物は、どうしても電気関係が不十分なことが多い。明るい空間にするには照明が不足しており、また従来より医療機械の種類が増え、コンピュータなども使用する。そのため容量を確保し、配線をやり変えるなどの電気工事が必要になる。
 しかし、工事が始まったのは9月下旬。11月3日には見学会を開催する予定という厳しい日程だった。
「住宅街なので、夜遅くまで工事するわけにはいきませんが、延長してやってました」
 見学会では機械を動かすことはできなかったが、7日の開業には間に合わせた。炭谷内科医院には、前医院から継続して来院される患者さんも多いという。
「外観はほどんど変わっていませんが、玄関に入ると『明るくなったね』と言われます。待合室に入ると前と同じようなので安心されるようです」と院長。医院は、地域の人々の新しい安心の場所となった。地域の信頼を受けて院長は多忙な日々を送っている。

玄関から見た内観(上)と車椅子用のステップを設けた入り口(下)。
 
診察室はクローズな空間のためプライバシーも安心(上)。従来と同じように畳の待合室(下)。
 
安心して歩けるように手すりをつけた通路(上)。
 
診察室から見るレントゲン室の小窓(上)。
 
炭谷内科医院の外観(上)と処置室(下)。
 
     
 
[今月のオーナー訪問]
 炭谷内科医院院長 炭谷 哲二さん
〈知恵を出し合って機能的に
 改装については牧田組さんにお願いして、設計段階からいろいろな業者さんにも協力していただきました。途中で結構いろいろなところで知恵を出し合いましたね。機械をどれだけ入れるかとか、配置の問題とかです。
 現場でここはこうしたいとか、こうしてほしいとかも言いました。結果的に狭いながらも機能的で、少ない動きでみんなが働ける医院になりました。診察室は、ぱっと見たときから角の部屋がいいと思いましたね。患者さんのプライバシーの問題もありますから。
 手すりを付けたり、段差をなくしたりもしていますが、バリアフリーといっても、段のあるところははっきりと段を付けるのも大切なんです。中途半端だと気が付かなくてかえってつまずくことがありますから。
 待合室は前と同じ畳の部屋にして、イメージを残しています。皆さん、『明るくなった』と言われますね。(談)
 
 
 
 
[技のトピックス]
 安心な住まいづくりに欠かせない防犯配慮商品
 YKKAP
 最近、テレビや新聞、雑誌などでも話題となっていますが、空き巣や忍び込みといった「侵入盗犯罪」が非常に増えてきており、治安の悪化が叫ばれています。ここ富山県においても侵入盗の検挙率が低くなっており、「自分の家は自分で守る」という時代になってきているといえます。
 そこで今回は、侵入盗から暮らしを守るYKKAPの「防犯配慮商品」をご紹介します。一般的に戸建住宅では開口部のガラスを破って侵入される事が多いのですが、こういった所には2つのボタンの組み合わせで63通りの暗証番号を設定できる「ボタン錠付クレセント」や、一般ガラスよりも破壊されにくく、断熱性能も併せ持った「合わせ複層ガラス」が有効です。
 また、鍵を持ち歩くことが少なく「無締まり」状態が多い勝手口には、4つのボタンの組み合わせで4095通りの暗証番号が設定でき、ツマミを回すだけで施錠ができて、サムターンまわしにも有効な「内外ボタン錠」がおすすめです。
 さらに高度な防犯システムとして、自動車のリモコンキーの発想を玄関ドアに取り入れた「ポケットキーシステム」や、家一棟の窓の開閉状態や施解錠状態をモニターで集中監視できる戸締まり確認防犯システム「Eyesシステム」があります。

 侵入盗の手口が巧妙かつ高度化してきている今、こういった「防犯配慮商品」を採用して、侵入盗から家を守る意識を高めることが重要ではないでしょうか。

 
 
[今月の特集は]
  株式会社牧田組が、昨年末に竣工した医院のリフォームを紹介しました。
 現在の医療現場は、機器の高度化や患者のメンタルケアなどハード・ソフトともに進化しています。医院の建築にも、診療面だけでなく来院者のストレスを軽減することなども求められます。昭和30年代に建てられた医院を、いかに快適な空間にするか、また昔ながらの良さを残すかが今回のリフォームのポイントと言えるでしょう。
   
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Vol.01 [特集]明るく、心配りのある医院  [TOPICS]防犯配慮商品 
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